スローな時間が流れる場所で。
城下町と呼ばれる場所は全国各地にいくつもありますが、
市の中心部が城下町として残り、
暮らしに密接な存在として息づいていることが特徴といえる臼杵市。
老舗が軒を連ねる商店街、自然と足が向く路地裏、歴史を感じる石畳の道。
そんな情緒あふれる風景を見下ろす高台で、
人々のおだやかな毎日を見守る臼杵城址。
暮らす人の日常が垣間見えることが、
初めて訪れても親近感を感じられる理由なのかもしれません。
どこかなつかしさを感じる臼杵市のまち歩きには、
着物がとってもよく似合います。
気持ちがおもむくままに寄り道しながら、
素敵な風景を見つけるたびにシャッターを切る。
のんびり、ゆったり。スローな時間を、臼杵市で。
城下町散策をいっそう楽しくするなら着物で!
老舗呉服店「赤穂屋」
城下町の雰囲気を存分に堪能するために、衣装にもこだわっちゃおう!
ということで、まず、着物や浴衣のレンタルができる老舗呉服店「赤穂屋」へ。
瓦屋根に格子戸など、江戸時代の町屋を思わせるたたずまいが絵になる呉服屋さんです。
呉服店って日頃はなかなか立ち寄る機会も少ないし、
着物を着たのは成人式とか、友人の結婚式以来かな…。
久しぶりに着物を着られるワクワクを胸に店内に入ると、美しく飾られた着物やかわいい髪飾りなどがずらり。
レンタル用の着物が並ぶお部屋に案内してもらい、いざ着物選び。
約50種類もあるそうで、あれもこれもといろんなデザインの着物を鏡の前で合わせながら、城下町の風景にマッチしそうなレトロな花柄をチョイスしました。
私の場合は10分くらいでお気に入りを選べましたが、悩む人だと30分くらいかかるみたい。
せっかくの機会だから、じっくりと選ぶ時間も楽しいですよね。
襦袢や帯、羽織だけではなく、バックや草履などの小物まで一式揃うので、手ぶらで気軽に行けるのもうれしいポイント。
男性用の着物(約30種類)もあるから、ご夫婦やカップルで、着物でしっとり街歩きデートにもおすすめです。
「呉服専門店のレンタル品ですから、高品質なものばかりを取り揃えています」とは、創業から360年以上の歴史を紡いできた赤穂屋16代目の中村充さん。
上質な着物を着せていただくと、自然とおしとやかに!?
美しい歩き方や座り方など所作も指南してもらえるので、着物を着慣れていなくても大丈夫です。
きれいに着付けていただき、軒下にある縁台に腰掛けて写真を撮れば、江戸時代にタイムスリップしたみたいに素敵な1枚が撮影できました。
観光に訪れていたお父さんから
「1枚、撮影いいですか?」
と声をかけられちゃったりしてちょっとうれしい。
気分を高めて、いざ『着物でまち歩き』、スタートです。
城下町散策をいっそう楽しくするなら着物で!
老舗呉服店「赤穂屋」の情報はこちら
赤穂屋
- 所在地
- 大分県臼杵市畳屋町7組(八町大路商店街)
- TEL
- 0972-62-2324
- 営業時間
- 9:00~17:00、日・祝10:00~16:00
- 定休日
- 不定
- 駐車場
- あり(3台)
- 備考
- 着物レンタルは事前予約を。営業時間外など、レンタル時間は応相談
- WEBサイト
- http://www.akouya.com/
城下町臼杵を代表する景色といえばここ
「二王座歴史の道」
老舗が建ち並ぶ商店街中心部はどこもかしこも写真におさめたくなる場所ばかりで、着物で歩けばさらにその雰囲気が増します。
気になる建物を見つけては立ち止まり、シャッターを切る…
を繰り返しながら、八町大路の南側へのんびりと歩みを進めます。
目指すは、臼杵を象徴する写真が撮影できる『二王座歴史の道』。
ここは国の都市景観100選にも選ばれているスポットで、石畳が敷き詰められたせまい路地沿いには、神社仏閣や武家住宅の名残が立ち並んでいます。
どっしりと構える門を備えた稲葉邸の長屋門をはじめ、
白壁の歴史ある建物や寺院がどこまでも続く、重厚な雰囲気が魅力的。
特に、火山岩を切り割ってつくられたという『切通し(きりとおし)』と呼ばれる場所からは、ゆるやかにくだる石畳と古い街並みがマッチ。
この場所でしか撮影できないノスタルジックな写真が撮れる、人気の撮影スポットでもあります。
慣れない草履で歩いてちょっと疲れたので、
切通しの近くにある『旧真光寺』で休憩を。
ここは廃寺を改装した場所で、現在は無料休憩所として観光客が多く立ち寄るスポットなんだそう。
2階の窓から見ると、歩いて見た景色とはまた違った風情を感じられます。
観光客だけでなく、地元の人が行き来する様子もちらほら。
「そうか、ここは住む人にとっては、いつも通る道なんだ」とあらためて思うと、
日常に城下町の歴史を感じられるって素敵だなぁと、うらやましくなりました。
城下町臼杵を代表する景色といえばここ
「二王座歴史の道」の情報はこちら
歴史の風情を体感し、美しい時間を切り取る
「旧臼杵藩主 稲葉家下屋敷」
臼杵の歴史を知るうえで外せないスポットが『旧臼杵藩主 稲葉家下屋敷』です。
旧臼杵藩主稲葉家が、里帰り用の屋敷として明治35年に建てたものだそうで、立派な御門をくぐると、格式高い武家屋敷がどっしりとたたずんでいます。
屋敷の向かいには銀行やスーパーがあって、車通りも多い場所。
しかし一歩足を踏み入れると、凛とした空気が異世界感を高めてくれました。
まちなかのふらりと立ち寄れる場所にこんなスポットがあるなんて、
すごく特別な感じ。
臼杵では『今と昔』が隣り合わせに存在することが当たり前なんだなぁ、
と実感できる場所です。
由緒ある建物の中に足を踏み入れると、式台を備えた玄関や広々とした大書院など、稲葉家が上級武士だったことがわかる歴史の名残を見ることができます。
歴史に詳しくなくても、建物や装飾品の美しさを見るだけでも
素晴らしさを体感できるスポットです。
大書院(最初に客人を迎える空間)でおしゃべりに華を咲かせるお母さんたちにあいさつをして広間を抜けると、屋敷の南側にはていねいに手入れされた芝や庭木が美しい庭園が広がっています。
まるで絵画を切り取ったような景色を撮影。
大書院をぐるりと囲む広い縁側、御居間や台所へと続くたたみ廊下など、どこも絵になる場所ばかりです。
着物姿で縁側に腰を下ろしてほっと一息つけば、気分はお姫様。
まさに着物が似合う風景を堪能できる場所ですね。
そよそよと吹く風に揺れる木々をながめながら、
つい長居してしまいそうな落ち着いた雰囲気に酔いしれました。
気分は上級武士家のお姫様!?
「旧臼杵藩主 稲葉家下屋敷」の情報はこちら
旧臼杵藩主 稲葉家下屋敷
- 所在地
- 大分県臼杵市臼杵6-6
- 営業時間
- 9:00~17:00(最終入館16:00)
- 定休日
- なし
- 駐車場
- なし
- 備考
- 入館料:高校生以上330円、小・中学生160円※臼杵市民は身分証提示で無料
- WEBサイト
- https://www.usuki-kanko.com/
武家屋敷内のカフェで、臼杵のおいしいものを堪能
「cafe 凡と凛」
朝からのまち歩きでお腹も空いてきたので、
おいしいランチを求めて『cafe凡と凛』へ。
ここは稲葉家下屋敷の敷地内という立地が珍しいカフェで、もともと土蔵だった建物を改装。
市内外から女性客を中心に人気で、素材にこだわったランチやスイーツが味わえます。
臼杵市といえば、『有機の里うすき』として土づくりからこだわり、『ほんまもん農産物』という臼杵市認証ブランドがあるほど、農作物の生産が盛んなまち。
ここではそんな地元産野菜をたっぷり味わえるサラダがついたランチが人気なんだそう。
数種類のランチの中からチョイスしたのは、『凡と凛どんぶり』。
ローストビーフとローストポークの2種類が味わえるどんぶりは、ボリュームたっぷり!
せっかく着物で来ているから、稲葉家下屋敷から続く庭園が広がるテラス席でいただきます。
「今日のサラダには、自家製バーニャカウダソースを使っています。
臼杵のおいしい野菜を、たくさんの人に味わってほしいですね」
とスタッフさんが教えてくれたとおり、
メインのどんぶりはもちろんだけど、シャキシャキの野菜を贅沢に味わえるって幸せです。
ショーケースに並ぶかわいいスイーツたちも気になったので、
「甘いものは別腹!」ってことでちゃっかりオーダーしておきました。
スイーツメニューは季節によって変わるそうですが、この日はフルーツタルトに、ミルフィーユ、レモンタルトに洋なしタルト…と、悩むのがうれしくなるラインナップ。
さすがに一人であれもこれもは食べきれないので、
次は友達と一緒にシェアしながらいろんな味を堪能したい!
武家屋敷×カフェの異空間でおいしい時間を楽しむ
「cafe 凡と凛」の情報はこちら
cafe 凡と凛
- 所在地
- 大分県臼杵市臼杵6-6(旧臼杵藩主稲葉家下屋敷)
- TEL
- 090-6924-7358
- 営業時間
- 10:00~16:30
- 定休日
- 水・木曜
- 駐車場
- なし
- 備考
- 人気店のため、前日までの予約がおすすめ。
地元客に親しまれる老舗でいただく意外!?な組み合わせスイーツ
「カニ醤油」
臼杵の中央通り商店街(八町大路)の中心部。
地元の「家庭の味」を支える味噌醤油蔵があります。
創業は慶長5年(1600年)。
長い歴史を重ねた「カニ醤油」は、震災や戦争などの苦難を乗り越え、
創業から変わらずこの場所で味噌や醤油、麹などを作り続けているそうです。
観光客が必ずといっていいほど立ち寄るスポットですが、
「地元のお客様を大切にしたいという思いを大切にしてきたからこそ、
地元でなじみの店になれたんだと思います」と
11代目の奥さま、可兒(かに)明子さんからお話を聞いている最中も、
地元の人と思われる客が、なじみの商品を買いに次々と訪れていました。
臼杵の人にとっては、「カニ醤油の味が家庭の味」という人もきっと多いんだろうなぁ。
店内に並ぶ商品は、定番の味噌や醤油に加えて、卵かけごはんやアジフライ専用の醤油、いろんな料理に使える万能だし醤油、糀の甘酒やドレッシングなど、お土産にもぴったりの商品がいっぱい。
クスッと笑える商品のネーミングにも注目です。
ここでいただいたのは、名物の『みそソフトクリーム』。
しょっぱい味噌に、ソフトクリームの甘さは果たして合うのか…!?
とちょっと不安でしたが、
これが驚きの相性なんです!
ソフトクリームの上に、
味噌クランチ・味噌パウダー・味噌ソースを贅沢にトリプルトッピング。
味噌の塩味とソフトクリームの甘さが相まって、
日本人ならきっと大好きな“甘じょっぱい”味わい。
全国で(おそらく)ここでしか楽しめない、あとをひく新感覚ソフトクリームに大満足。
「甘さとしょっぱさのバランスが難しくてね。完成するまで、何度も試作を重ねたんですよ」と笑う明子さん。
『お客様を喜ばせたい』という思いが
多数の商品ラインナップやお店の雰囲気にあらわれているようです。
老舗が多い臼杵の中でも古い歴史を持つ店でもあるので、昔話を聞くのも楽しいですよ。
地元客に親しまれる老舗でいただく意外!?な組み合わせスイーツ
「カニ醤油」の情報はこちら
カニ醤油
- 所在地
- 大分県臼杵市臼杵218
- TEL
- 0972-63-1177
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 火曜
- WEBサイト
- https://www.kagiya-1600.com/
エリア周辺のおすすめスポット
-
臼杵城址
臼杵市街地を一望する場所に位置する城跡。
公園として整備された市民憩いのスポットで、春は桜の名所としても有名。- TEL
- 0972-63-1111(臼杵市産業観光課)
- 駐車場
- あり
- WEBサイト
- https://www.usuki-kanko.com/
-
臼杵市観光交流プラザ
まち歩き前の観光情報の入手はここで!
レンタサイクルの貸出もしていて、自転車で爽快な臼杵旅もおすすめです。- 所在地
- 臼杵市臼杵100-2
- TEL
- 0972-63-1715
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- なし
- 駐車場
- 20台
- 備考
- レンタサイクル受付は当日先着順。
普通自転車は無料、電動自転車は300円※子ども用自転車はなし。 - WEBサイト
- https://www.usuki-kanko.com/
-
サーラ・デ・うすき
臼杵ブランド認証品『うすきの地のもの』を販売。
加工品など多彩な臼杵みやげを選んで、旅の思い出を持ち帰ろう。- 所在地
- 臼杵市臼杵210-3
- TEL
- 0972-64-7271
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 1/1・2
- 駐車場
- なし※向かいの「タイムズ臼杵八町大路駐車場」を1時間無料で利用可。受付に問い合わせを。
- WEBサイト
- https://www.usuki-kanko.com/